• 月日  午後5:28
    0 ℃  |   |  降雨:%

  • 100円=3.89レイ
  • 1ユーロ=4.73レイ

ルーマニアの世界遺産巡り

著:後藤 宏二

 25年振りのルーマニア訪問の機会をとらえ、国中央をくの字に横たわるカルパチア山脈に囲まれた「森のかなたの国」トランシルヴァニア地方を訪れた。この地域は中世の面影をそのまま残してある歴史的な史跡が多くあり世界遺産に登録されている。ルーマニア第二の都市ブラショフから更に北へ、森と丘陵の中を120Km進むと「シギショアラ歴史地区」に着く。緑の丘の上に建つ城塞都市は街全体が城壁で囲まれており、規模は小さいが中世ヨーロッパの石畳の続く街を、其の儘そっくりと現代に持って来たような感じさえする。12世紀末にドイツのザクセン地方から入植して来たドイツ人が作った街なのだ。昔からどこの観光地に行ってもウロウロとまとわりつき、チップを欲しがるジプシーの子供達から賢そうな子を選んで道案内をして貰う。街の中心部にあり、今でも「からくり人形」が出てくる時計塔からスタートし、中世武器博物館、今はレストランとなっているドラキュラのモデルになったヴェラド・ツエペッシュの生家、木造造りの屋根つきの長い階段、更にこの急な階段を登って行くと目の前に現れる山上教会、それに隣接しているドイツ語学校など、観光地化されていない素朴な歴史的景観をジプシーの子供のお蔭で、十二分に堪能する事が出来た。新市街に出ると旧型のベンツが走り、レストランでは体格の良い人達がドイツ語を喋りドイツ料理を食べている様子を見ると、何処の国にいるのか判らなくなってしまう。我々の泊まったホテル・シギショアラは城壁の中にあって歴史的な古い建物を改築してあり文化遺産そのもの。ホテルのクラスとしては三つ星ではあったが、サービス等を含めた中身は四つ星以上の価値がある。更に驚いたのはホテル代の安い事、ツインルーム一泊・朝食付きで50ユーロ(7000円)パリの四つ星ホテルの1/5の値段であった。

 シギショアラから南西、馬車が走る道を30km程行くとトランシルバニア地方の小さな村ビエルタンに着く。この地方は良く肥えた土地と森と丘陵に囲まれ、放牧に最適な環境で農業、酪農が栄えておりルーマニアの穀倉地帯だ。村の中心に世界遺産に指定されている「要塞聖堂」がある。15~17世紀にオスマントルコ軍の侵略に備え、村の中心である教会を守る為に防壁を巡らせ要塞を造っていたそうだ。静かな赤い瓦屋根の村に突如として現れる要塞教会はまるでお城のようである。ゴシック様式の教会の中の壁に画かれたキリストのフレスコ画は鮮やかで、国宝級との事である。人懐っこいジプシーの子を道案内に城壁を散策していると、恰幅の良いルーマニア人に出会う。私達が日本人と言ったら色々と話しかけてくるのだが、外国語はドイツ語しか話せない。3年前に東京に行ったことがあるようだ。何をしに行ったのかは良く理解出来なかったが、「私について来なさい」と言うので一緒について行くと、城壁内の崩れかかった小屋の前で、「これが私のアトリエです」と言ったので初めて絵描きさんと判った次第。中に入ると製作中の色々な絵が置いてあったが、版画、油絵など皆素晴らしい物ばかりだ。世界遺産のお城の中にアトリエを持つなんて我々には考えられないし、かなり有名な人しか出来ない事と思っていた。名前はイオン コンスタンチネスク ビクトール、後で聞いた話ではルーマニアで一流の画家である。この近辺にはビエルタン以外にも13箇所の要塞教会があるそうで、次の機会にはもっと時間を掛けゆっくりと散策して見たいと思う。

 最近、日本では定年後の人達がオーストラリア、スペイン等海外で余生を楽しむようになって来ているが、このルーマニアこそ2~3年の長期滞在なら最適な場所と思う。春夏秋冬の季節があり、海山川の大自然の中で行動的な魚釣り、キャンピング、乗馬など、更にヨーグルトとかチーズ作り等の伝統的な昔ながらの生活も楽しむ事が出来る。長い歴史の中から残ってきた数多くの世界文化遺産への興味は、尽きる事のない大変魅力的な国だと思う。 . . .

©後藤 宏二 権利者に無断で複製及び転載等は禁止。

ご提供サービス

  • 個人, 小団体用のカスタマイズ旅行手配
  • ルーマニア語からの翻訳・通訳
  • ルーマニア語からのテープ起こし
  • ルーマニア語講座
  • ルーマニアとの商売・取引サポート
  • ルーマニア関係イベント開催の支援
  • ルーマニアでの各種調査協力および現地での会議のアレンジ