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ルーマニア を知るための60章 レビュー

ルーマニア を知るための60章

また、ルーマニアに関する概説書が皆無であることに鑑み、本書はルーマニア人の暮らしや社会を広範囲にわたって紹介しょうと試みたが、同時に以下の三点にこだわった。
一つは、冒頭において、ルーマニアの欧州における相対的な位置づけおょび特徴を描き出すよう試みた。
もう一つは、国民性について多角的に捉えようと工夫した。
このテーマは、編者が冷戦だけなわの一九七八年暮れに初めてルーマニアに足を踏み入れて以来最大の関心事であり続けたが、ルーマニアに興味を抱く人々や、何らかの形で同国と関わりを持ってきた人達にとって、おそらく最も知りたいテーマではなかろうか。

さらにもう一つは、マスメディアで報じられることはなかったが、一九八九年の「ルーマニア政変」をテレビで食い人ってみた人々にとっておそらく興味津々な、その後のルーマニア社会の変容について、チャウシェスク政権時代と比較しながら描写した。

また、歴史、政治、経済については、ルーマニア人の歴史的ルーツ、経済的後進性の起源、一九八九午政変をめぐる論争、指令経済から市場経済への移行過程など興味深いテーマを厳選し、第一線の研究者に執筆いただいた。
単に楽しい読み物に終わることなく、ルーマニアを知るために不可欠な歴史、政治、経済に関する知識も十分身につけていただけるものと期待している。

ただ、ルーマニアを多面的に紹介するよう試みたとはいえ、将来の宿題として残された分野もある。たとえば、ルーマニア文学は、国民の風習や思考様式、さらには社会の仕組みなどを知る上で不可欠な領域である。
ルーマニア文学がヨーロッパ文学の中でどう位置づけられ、いがなる特徴を有するのか、是非とも知りたいテーマであるが今回は見送らざるを得なかった仁本吉は、ルーマニアで長年暮らしたか、何度も足を運んで各々のテーマを追い続けてきた専門家遠の手による、日本で初めてのルーマニア概説書である。
日本とほぼ同じ頃近代国家として歩み始めたルーマニアが、日本と異なる道を歩まざるを得なかった理由や、ルーマニアの不思議さや魅力を、本書を通じて堪能していただければ望外の喜びである。

編者は読者の方々が読みやすいよう地名や人名などを統一しようと試みたが、誇り高さ専門家集団はそのような編者の目論見を許してはくれなかった。
したがって、ルーマニア語の日本語表記に若干のばらつきがあるが、しかしそれらはあくまでも日本語表記上の問題に過ぎず、例えばスチャーヴァかスチャヴァのどちらを用いてもルーマニア人には十分通じる程度の僅差であることをご理解いただきたい。

ルーマニア語の修得は必ずしも容易ではないが、発音はそれ程複雑ではない。アルファベット二人文字に、帽子や山や尾っぽがついた文字が五文字 加わるだけである。発音表記に関心のある読者諸氏は、是非ともご自分で確認いただきたい。
また、ブカレストとカルパチアに関しては、ルーマニア語ではブクレシユティ(Bucuresti)とカルパツィ(Carpati)であるが、既に馴染みある前者を用いた箇所が多々あることをあらかじめお断りしておきたい。

ルーマニアは本年二〇〇七年一月に念願のEU加盟を果たし、漸くヨーロッパの仲間入りを果たすことができた。その年に本書を刊行することができたのは、明石書店の大江道雅氏、今井芳樹氏、大槻武志氏による長年にわたる辛抱強いご支援があったからに他ならない。
心より御礼申し上げる次第である。

編著編者 六鹿茂夫

目次

ルーマニアの特徴

  • 弟1章 Bine ati venit(ようこそ)―― ルーマニァヘの誘い
  • 弟2章 「狭間」の地政学――ルーマニアの命運を規定してきた要因
  • 第3章 ルーマニア版「和魂洋才」――ラテン性と土着主義の狭間で
  • 弟4章 国際的陰謀論への強迫観念――諸大国によるルーマニアの勢力分割
  • 弟5章 もう一つのルーマニア人国家――モルドヴァ共和国

地理・生活・文化

  • 第6章 ルーマニアの美しい自然――カルパツィ山脈とドナウ川の国
  • 第7章 モルドヅァの古都を歩く――ルーマニア人の魂のふるさと
  • 第8章 トランシルヴァニアの多元性――旧王国地方との鮮やかな対照
  • 弟9章 ワラキア地方首都遍歴――山麓地帯から平野部へ
  • 第10章 ルーマニアの建築――教会建築にみる民族の歴史
  • 【コラム1】 ルーマニアの野外博物館
  • 弟11章 ルーマニア料理――力強い素材と豊かな食文化
  • 第12章 ルーマニアのワイン――バッカスの故郷が生み出す大地の恵み
  • 第13章 日常の食生活――都会の家族の平日と休日
  • 【コラム2】酒のある風景――地酒を通して知るルーマニアの心
  • 第14章 民族音楽――バルトークからジプシーヘと至るルーマニアの音楽
  • 第15章 ホップ・ミユージックと若者文化――現代ルーマニアン・ポップスの多様性
  • 【コラム3】クラシック音楽
  • 弟16章 ルーマニアの民俗舞踊――人生は踊りと共にある
  • 【コラム4】民衆の生活儀式に根ざす民俗舞踊「カルーシユ」
  • 第17章 ルーマニアのスポーツ――国家のアイデンテゴァィ

言語・宗教・国民性・人物

  • 第18章 言語から見たルーマニア人のラテン性――ドナウのローマ
  • 第19章 ルーマニア宗教事情1西欧の影響と宗教対立
  • 【コラム5】ルーマニア正教会の起原
  • 【コラム6】ルーマニアのイコン
  • 第20章 ルーマニアの政治文化と宗教――正教会と国家権力
  • 【コラム7】宗教からみたルーマニア国民性
  • 第21章 バラーダに見る民族性(1) ――ミオリツツァ
  • 第22章 バラーダに見る民族性(2) ――棟梁マノーレ
  • 弟23章 運命論的で演歌好きールーマニアの演歌、ロマンツァ
  • 弟24章 明るく、狡賢いルーマニア人――シュメケリエとチュブーク
  • 弟25章 日本人とルーマニア人――対照性と共通性
  • 第26章 あるルーマニア人――ミルチャ・エリアーデのパリ時代
  • 弟27章 ドラキュラとヴラッド・ツエペシュ――悪魔と英雄、空想と現実の間で
  • 【コラム8」ドラキュラ・パークとプラン城
  • 第28章 ルーマニアの有名人――多彩な人材を生み出す小国

歴史・政治

  • 第29章 古代ローマの末裔となったダキァ人――ルーマニァ人のルーツを求めて
  • 弟30章 中世国家三公国の成立――史実より神話によって辿る時代
  • 第31章 大国の間を生き抜いた歴史――したたかさと絶妙のバランス感覚
  • 第32章 統一国家ルーマニアの成立――西欧的立憲君主制国家をめどして
  • 第33章 大ルーマニァの成立――ルーマニア人の住む地域が一つの国に統一したとき
  • 第34章 両大戦同期の人々の日常生活と社会――「バルカンの小パリ」が繁栄した「古音良き時代」
  • 第35章 両大戦同期および弟二次大戦期の政治史――民主主義の確立から「大ルーマニァ」および王制の崩壊まで
  • 第36章 ソ連型共産主義から民族共産主義ヘ――ルーマニア自主外交の明と暗
  • 第37章 チャウシェスク体制の成立――文化大革命と全日成モデル
  • 第38章 チャウシェスク体制の崩壊要因――ママリーガ社会を爆発させたもの
  • 第39章 1989年12月政変――革命か、クーデターか?
  • 第40章 共産党独裁から複数政党制ヘ――ニ大政党制への収斂

ルーマニア社会の変容

  • 第41章 鎖国政策から開放政策ヘ――海外へと向かうルーマニア人
  • 第42章 二つの顔を持つルーマニア人――密告制度と秘密警察
  • 第43章 情報の統制と自由化ーマスメディアをめぐる権力と社会の攻防
  • 第44章 弾圧からカオスヘ――野犬愛護と人命保護をめぐる確執
  • 第45章 自出化が生み出した不平等社会――健康をむしばむ貧困
  • 第46章 トランシルヴァニアのハンガリー人問題――言語・教育面における複数民族の共存と分離
  • 第47章 忘れられたホロコースト――ルーマニアのロマ

経済

  • 第48章 ルーマニアにおける経済的後進性の起源――オスマン帝国の影響と農奴解放の不徹底
  • 第49章 両大戦間および第二次大戦期のルーマニア経済――農業過剰人ロとナチスの影
  • 第50章 戦後の経済復興と社会主義化――ソ連型重工業化から目主独立路線へ
  • 第51章 チャウシェスク時代の経済政策――大工業化の波紋
  • 第52章 緩慢な歩みを見せた民営化――大衆民営化と大企業の外国への売却
  • 第53章 経済の貧困化と富裕層の誕生――市場経済化で国民は豊かになったか
  • 第54章 経済の現況――移行ショックから経済成長へ
  • 第55章 投資環境――急増する新規直接投資流入
  • 第56章 EUとの経済関係――EU加盟までの道のりと今後
  • 第57章 経済地理――活かしされない豊かな国土

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