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ルーマニアといえば?
コマネチ(ビートたけしじゃない方)を思い浮かべるのも40代以上限定で、R25世代には馴染みが薄いかもしれません。
ルーマニアは東欧の国。なかなか日本にいて情報が伝わってこない国ですが、ある事実がひとつ。ルーマニアをアルファベットで書くと、Romania。そのスペルにRomaと入っていることからもわかる通り、人種の起源は古代ローマのようです。つまり東欧にありながらラテン気質!
そんな噂をきいて、俄然ルーマニアを調べてみたくなりました。では、今回も調査に行ってきます!
ドラキュラがルーマニアにいた!?
ルーマニアがある東欧には、たくさんの小さな国があり、しかも日本人からすると似たような名前の国ばかりで、イマイチそれぞれの違いが明確じゃないですよね。まずはどんなところを観光すれば面白いかルーマニア政府観光局のシェルバン・アレクサンドルさんに伺いました。
「ルーマニアには石畳や瓦の屋根など、中世の街並みがヨーロッパの他の国よりも多く残っています。小さな街ならどこでも、大きな街なら旧市街などに行けば見ることができます。中世の建物以外でも、歴史のある建造物が見どころですね。また世界遺産は7つの地域に分かれていますが、ひとつひとつの建物で数えたら29箇所、そのうち28箇所が文化遺産なんです。ブコヴィナ地方にある外壁をフレスコ画で覆われた"五つの修道院"、見事な木造建築で世界的に有名なマラムレシュの"木造教会"、異民族からの侵入に備えて13?16世紀に建築されたトランシルヴァニアの"要塞教会"などが有名です」
ヨーロッパの歴史を感じさせる建築や街並み、歴史好きにはヨダレものですね。
「また、世界遺産ではありませんが、ブラン城もオススメです。小説『吸血鬼ドラキュラ』のモデルとなったヴラド・ツェペシュが居城としたことで有名です。スペインやフランスのお城のように大きくはありません。しかし、神聖ローマ帝国時代に、オスマントルコ軍から国を守る拠点の城だったので、秘密の通路があったり、大砲の設置跡があったりして面白いですよ」
ドラキュラというと、血を吸うあのお方ですよね。ルーマニアにモデルがいたとは!お城はアトラクションみたいで楽しそうです。他にもオススメはありますか?
「黒海の近くにある塩分の高い湖から採れる泥で、泥パックができます。美容にもいいし、古代ローマの時代からリウマチの治療として使われてきました。治療は湖畔で行われます。泥を体に塗って、日干しで乾かす。乾いたら、そのまま湖に入って落とすんです」
乾いてパリパリのまま湖に入って泥を落とすなんて、ちょっと楽しそう。もし女子とルーマニアに行くことになったら、真っ先に行ってみようと思います。さて、そんなルーマニアの食文化も気になるところ。銀座にあるルーマニア料理レストラン、ダリエのシェフ及川治道さんに伺いました。
「寒い地方なので、油を多く使う料理が多いんです。それを中和する意味で、酸味のある料理が多いですね。チョルバという煮込みスープが有名で、いろいろな味のチョルバがありますが、共通して少し酸味があります。他にも、とうもろこし、赤ピーマン、きのこ、カリフラワー、青トマトなど、いろいろな野菜を酢漬けにしてピクルスにします。ルーマニア伝統料理のレストランなどに行くと、壁一面にビン詰めのピクルスが並んでいますよ。それほど甘酸っぱくなく、日本のおしんこに近いんですよ」
なるほど酸味のある料理が多いんですね。まさか、みんな体が柔らかいとか!? たくさんの歴史ある建造物が世界文化遺産として残っていて、その長い歴史にロマンを感じます。まずは世界史の教科書を開いて、古代ローマからオスマントルコまでをお勉強しようっと。
ルーマニア風ロールキャベツ&ドーナツを食べてきた!
ロールキャベツのようで ロールキャベツではない!?東にあるロシアにはボルシチ、南のブルガリアはヨーグルト、さらに世界三大料理に数えられるトルコも近くにあります。では、ルーマニア料理ってどんなもの? その真相を味わうべく、銀座にあるルーマニア料理レストラン、ダリエのシェフ及川治道さんに伺いました。ルーマニア代表料理を教えてください!
「まずはこれを作れないとお嫁には行けないという伝統料理、サルマーレです。普段も食べますが、お祝いのときには必ず食べる料理です。まず14日間くらいかけて、キャベツをまるごとピクルスにします。その葉を1枚1枚はがして、豚と牛の挽肉、たまねぎ、お米、香辛料などを包みます。それを少量のスープ、ベーコンなどと一緒に鍋で2時間くらい煮たらできあがり。見た目はロールキャベツですが、スープは煮詰めてしまうのでありません」
ではサルマーレ、いただきます。普通のロールキャベツより少し細み。食べてみると確かに酸味があります。一緒に煮ている付け合わせのベーコンにも味が染みてウマイ。さておなか一杯になったところで、オススメのデザートはありますか?
「パパナッシュというデザートが有名です。発祥地であるブラショフという街は調理人の技術が高く、そこ出身のシェフがいないと、本当においしいパパナッシュは食べられません。和食では京都に修業に行くじゃないですか。そんな感じで、ブラショフは食のレベルが高いので、みんなが修業に行くんです。見た目はドーナツのような感じになります。生地はカッテージチーズと、同じ量の粉を卵でつないだだけ。だから生地自体がすごく柔らかくて、揚げるのが非常に難しく、ひとつとして同じカタチにはなりません。揚げたてにパウダーシュガーとサワークリーム、チェリージャムをかけて完成です」
インパクトのある見た目でかなり甘そう。でも生地自体に甘さはないし、サワークリームがたっぷりなので、意外とさっぱりしていますね。ここでもやはり酸味が!ところでルーマニアでは、どんなお酒が飲まれているんですか? ヨーロッパということは、やはりワイン?
「そうですね。食事のときにワインを飲まないというのは考えられないくらい。世界で毎年13位前後と、実は生産量が多いんです。が、そのほとんどを国内で消費しちゃうんですよね。ヨーロッパにも多少は流通していますが、残念ながら日本にはほとんど入ってきていません。彼らは赤ワインのことを黒ワインと呼びます。それだけ他の国の赤ワインより濃く、芳醇な味わいが特徴ですね。ちなみにギリシャ神話の酒の神であるバッカスは、バカウという街出身のルーマニア人なんですよ」
バッカスの出身地なら、酒飲みがたくさんいてもしょうがないですね。意外とすんなりと日本人の口に合う料理。酸味がある料理が多いので、それほどしつこい感じはしませんでした。ルーマニアに行く機会があったら、ルーマニアの京都、ブラショフにも行ってみたいと思います。
コマネチの世代ではないので、ルーマニアには今までほとんど印象がありませんでした。
政府観光局にシェルバンさんいわく日本人のルーマニアの認識は「まずはコマネチとドラキュラ」なんだとか。そう言われても、どちらもピンとこない…。
だけど、世界史好きにはたまらない国です。"オスマントルコ帝国やローマ帝国のナンチャラ"なんてキーワードがポンポン出てくるんですから。そして今回お邪魔したレストラン、ダリエ。毎度のことながら、この企画で取り上げる国のレストランはかなり少ないんですが、ダリエは銀座の一等地に長く店を構えています。ルーマニアで修業したシェフの絶品料理とともに、ルーマニアの珍しいお酒もいろいろあるんで、ぜひ行ってみてください。
さて、次回もヨーロッパ編ですが、アジアでもアフリカでも南米でも、世界中に(空想で)行きますので、リクエストまだまだ募集中です!
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