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▲トップへ明日への話題 ―シビウと飛騨高山
日経新聞 2009年9月30日夕刊
「EU・ジャパンフェスト」は、日本とEUの若い芸術家の活動を支援する文化団体。1993年から今日まで17年間連綿かつ活発に交流活動を続けている。毎年EUの文化の香り高い都市を開催地に択び、「実行委員長」を中心に日本からの使節団が当地を訪れ、フェストを催すのが慣わしだ。
2007年はルーマニアの人口16万人の古都「シビウこの夏、実行委員長には新日本石油の渡文明会長が就任された。慣例で、前年のご同役の私もお供させて頂いた。
シビウは12世紀にドイツ人が興した要塞都市だが、幾多の戦争の疵に耐え、第1次大戦後は芸術と文化の都へと変貌した。ぶらり散策した市内には、歴史と品格に満ちた建物と佇まいが広がり、ふと飛騨の古都「高山」の町並みと二重写しになった。
日本と現地の若者による、能舞台と舞踏の素晴らしいパフォーマンスの後、渡ご夫妻主賓の市長御招宴となった。小生の席は光栄にも市長夫人のお隣。この奥方が飛びっきりの美人にして知的魅力溢れるレディ。片言の英語で話すうちに、酔いと興奮の余り、「シビウと高山は、共に貴女の様に気高く美しい。
故に是非姉妹都市に」と分も弁えず繰り返し、夫人も辟易して隣席の市長に訴えられた気配、不味いと思ったが後の祭りだ。
そして今春、渡会長にルーマニア政府から同国の勲章が授与された。その祝賀の席で、渡さんから「姉妹都市の件は、金子一義先生(前国交大臣)-飛騨ご出身-の斡旋で順調に話が進んでいるよ」と、想いもよらぬお話を頂いた。私の世迷言の尻拭いを、渡会長がシビウ市長と煮詰めて下さうたに相違ないが、もし実現すれば、正に瓢箪から駒、その日を心待ちにしている。
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