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第六章 正教会のかたち

イコン

ルーマニアの宗教―正教

「イコン」というのは、もともとギリシャ語で、「形」とか「像」という意味をもっています。日本正教会では「聖像」と訳されることもあります。「イコン」は、狭い意味では一枚の板に描かれた絵のことをいいますが、広い意味では、正教会が使用する絵画すべてを指します。

迫害を受けていた初代教会の人々は、「カタコンベ」と呼ばれる地下墓地で集会を開いていましたが、彼等はその壁にさまざまな壁画を描きました。これらは、歴史的に確認できる一番古いキリスト教美術です。しかし、正教会には、イコンの由来について二つの伝承が残されています。

一つは、聖使徒ルカが、生神女マリヤとハリストスを描いたのがイコンの始まりである、というものです。この伝承は、正教会がイコンを用いるのは福音に基づいているのである、ということを教えています。福音書は、神が生神女マリヤをとおして人となったこと、つまり籍身の事実を知らせています。イコンの根拠はハリストスの籍身にあります。

もう一つは、エデッサという町にいたアブガル王が重病になり、イイススのもとへ使者を送って癒しを求めたところ、イイススがご自分の顔に一枚の布を押し当てて、それを使者に渡したという伝説です。その布にはイイススの顔が写っていました。これが最初のイコンとされています。これは、誰かが絵の具と筆を使って描いたものではないので、「手によって作られてない」(ギリシャ語で「アヘイロポイェトス」)イコンと呼ばれます。日本正教会では「自印聖像」と訳されます。布に直接ハリストスの顔が写ったということは、神であるハリストスが肉体をもった現実の人間であったこと、そして誰かが勝手に想像して描いたのでもなく、幻影をスケッチしたのでもないことを教えます。イコンの中のハリストスの顔は、この自印聖像に源流をもっています。それは、イコンというものが画家の個人的な裁量やイメージに任せられないことを意味しています。

イコンこそ、キリスト教(正教会)の信仰の力強い証です。

聖堂

正教会が建てる聖堂は、単なる集会所とか祈祷所ではありません。聖堂とは「神が私たちと共におられる」という信仰を具体化したものです。聖使徒パウェルは「私たちは生ける神の神殿である」と言いました。ハリストスと聖神をとおして、神が人と共にあり、人の内にいまし、生きておられることを正教の教会建築は表現しています。言い換えるなら、神の国の象りとして聖堂は建てられています。そのために聖堂の形や内装にはそれぞれ深い意味が込められています。

聖堂の形

聖堂を上から見た形としては、主に「長方形」と「十字架形」の二つがあります。「長方形」は、ノアの箱船の象りです。教会がこの世という海を航海し神の国という港に向かう船であることを表すわけです。「十字架形」は、ハリストスの十字架による救いを象ります。聖堂の中に入ることは、ハリストスの救いの中に身をゆだねることになるわけです。

東向き

聖堂は普通「東向き」に建てられます(人口が西ということ)。太陽という光の昇る方向である東に向かうということは、ハリストスという救いの光に向かい、神の国を待ち望むという姿勢を表すからです。もちろん方角自体に何か神秘的な力があるわけではないので、やむをえず「東向き」ではなく建てられる場合もあります。

屋根

「ビザンチン建築」と呼ばれる聖堂では、大きなドームの屋根をもつのが特徴です。このドームは、教会に冠をかぶせていることを意味すると共に、「天」を象っています。 ドームのある聖堂に入る時、すでに「天国」がそばに来ていることを感じることができます。ロシア式の聖堂では、「クーポル」と呼ばれる屋根が付けられますが、これは祈りが神のもとへ昇ることを表すロウソクの炎を象るものです。「クーポル」は複数取り付けられることがあります。一個のクーポルは、教会の唯一の主イイスス・ハリストスを象り、五個の時は、ハリストスと四福音を象り、七個は正教会の七つの機密、十三個はハリストスと十二使徒を象ります。

聖堂の入口の真上、または全く別の場所に「鐘楼」が建てられ鐘が釣りさげられます。鐘は、祈祷の開始と終わりの時、または祈祷中の重要部分を知らせるために鳴らされます。

イコン

聖堂の内部や外部には、イコンが掲げられます。「フレスコ画」や「モザイク画」のように壁や天井に直接イコンが描かれる教会もたくさんあります。ハリストスやマリヤや聖人たちのイコンは、聖堂を神の国の臨在の場にします。

(1)啓蒙所

聖堂の人口付近の場所。啓蒙者(まだ洗礼を受ける前の段階の人)が立つべき位置だった。現在は実際的には「聖所」との区別はあまりない。意味としては、「この世」を象るところ。

(2)聖所

聖堂の真ん中の場所。信者が立つべき位置。イコンが掲げられ、燭台が置かれる。信者が祈り、機密を受けるための空間。意味としては「この世での天国の先取り」を象る。

(3)至聖所

聖堂の奥にある最も重要な場所。神品や神品を補佐する人たちのみが入ることを許される。その名のとおり「至って聖なる所」で、意味としては「神の国」「来世」を象る。

イコノスタス

「至聖所」と「聖所」を隔てる壁のことを「イコノスタス」といいます。日本正教会では「聖障」と訳されることもあります。「イコノスタス」とは、「イコンの壁」という意味で、文字通り様々なイコンが掲げられています。イコノスタスには、普通三つのドアがあり、特に重要なのが真ん中にある「王門」または「天門」と呼ばれる門です。神品のみがここを通ることができます。奉神礼の中で「王門」を開いたり閉じたりすることによって、神の国との交わりが顕されます。

宝座

至聖所の真ん中には「宝座」と呼ばれる台があります。聖堂は聖体機密を行うために建てられると言っても過言ではありません。「宝座」はその聖体機密が実際に執行される場所ですから、聖堂の中心的な位置をもっています。「宝座」は、神の国の食卓であり、天の御座(黙示録4:2他)を象るものであり、神の臨在の場です。宝座の下には、聖人の不朽体の一部が特別な容器に入れられて安置されます。これは聖人たちが生命をかけて伝えた信仰の上に教会が成り立っていることを示しています。この習慣は、迫害時代、致命した者たちの墓の上で聖体機密を行っていた初代教会の経験から来ています。

奉献台

至聖所の左手奥には、「奉献台」と呼ばれる台があります。司祭は聖体礼儀を行う前、「奉献礼儀」をこの上で行います。「奉献台」の上には聖体機密を行うための「聖器物」が安置されています。御座(黙示録4:2他)を象るものであり、神の臨在の場です。宝座の下には、聖人の不朽体の一部が特別な容器に入れられて安置されます。これは聖人たちが生命をかけて伝えた信仰の上に教会が成り立っていることを示しています。この習慣は、迫害時代、致命した者たちの墓の上で聖体機密を行っていた初代教会の経験から来ています。

奉献台

至聖所の左手奥には、「奉献台」と呼ばれる台があります。司祭は聖体礼儀を行う前、「奉献礼儀」をこの上で行います。「奉献台」の上には聖体機密を行うための「聖器物」が安置されています。

聖器物や祭服

聖体礼儀を行うために必要不可欠な「聖器物」の他に、正教会には様々な奉神礼のための器物、そして祭服があります。それらの名称と用途や意味について説明します。

聖体機密のための聖器物聖匙 単に「さじ」とも呼ばれる。司祭が信徒に御聖体を授ける時に使うスプーン。預言者イサイヤの唇に触れてその罪を取り除いたセラフィムの火ばさみを象る。

聖戈

単に「ほこ」とも呼ばれる。やりの形をした両刃のナイフ。聖パンを切り分けたりする時に使用する。十字架上のハリストスの脇を刺した兵卒のやりを象る。

聖爵

「ポティール」とも呼ばれる。尊血となるぶどう酒が注がれる杯。信者の領聖の時には、尊体であるパンが中に入れら機密の晩餐の時にハリストスが使った杯を象る。

聖孟

「ディスコス」とも呼ばれる。円盤状の皿で、尊体となるパン(特別に「薫」とも呼ばれると、生神女マリヤや諸聖人や生者・死者を記憶して取り出されたパンの欠片が置かれる。このディスコスの上のパンは、教会全体を象徴している。

小袱

ポティールとディスコスを覆うための二枚の布。

星架

ディスコスの上のパンを「小袱」や「太気」との接触から守る役割をもつ道具。ハリストス降誕の時に博士たちを導いた星を象る。その他、ポティールやディスコスをぬぐうための「海綿(海絨)」や赤い布なども使用される。アンティミンス 直訳すると「台の代わり」という意味で「代案」という漢字が当てられる。聖体礼儀を行う時に広げられる特別な布で、聖人の不朽体の一部が縫い込まれている。主教のサインが入っていて、聖体機密執行の許可書のような役割も持つ。

象徴と表信

正教会では様々な象徴(シンボル)が用いられます。十字架一番頻繁に用いられるのは言うまでもなく十字架です。十字架の形にもいろいろありますが、その中でも特徴的なのが「ロシアン・クロス」と呼ばれる十字架です。

ぶどう、その他

聖器物や祭服などにぶどうの絵柄が描かれることがあります。これはイオアン伝15章にあるハリストスの言葉に基づいています。その他、聖神を表す鳩、ハリストスを表す魚(イイスス・ハリストス、神の子、救世主をギリシャ語で表記した時の頭文字をつなげると魚を意味するギリシャ語になる)などがいろいろなところにデザインされます。

表信

正教徒は、さまざまな動作と共に祈ります。その形にはそれぞれ正教会の信仰が表明されているので「表信」と呼ばれます。次に主な「表信」について説明します。

十字をかく

図dのように右手の三本の指を合わせ、三位一体の神を象り、二本の指を曲げて掌につけて、人となった神ハリストスの神性と人性を象る。その手を額、胸、右肩、左 肩の順に動かして十字をかく(左肩を先にするのはカトリックの仕方)。十字をかくことは、祈りや信仰に欠かせない大切な表信。

起立

奉神礼の時の基本姿勢。そのため正教会の聖堂にはイスが少ない。復活を表し、神の子としての自由の精神をも象る。神の臨在を前にした人間の自然な姿勢。

頭を屈める

ハリストスへの従順さ、感謝、希求を表す。福音経の読みの時や自分に向かって香炉が振られた時などに行う。

脆く

膝をついて、頭を屈める姿勢。神の偉大さ受け止めること、またはへりくだりの心を表す

伏拝

「大拝」とか「叩拝」とも呼ばれる。全身を折り曲げてひれ伏す姿勢。へりくだり、痛悔、礼拝、服従の心、「我」を折ることを表す。神を前にした罪深い人間の自然の姿勢。

接吻

ハリストスや聖人への敬愛の表現。イコン、ポテイール、十字架、司祭や主教の右手に接吻する。

献灯

ろうそくの炎に祈りの心を込める。上にあがる炎は神に上る祈りを表し、明るく熱のある炎は。神の光、救いの光、ハリストスの光、信仰の熱を象る。日本正教会では、蜜蝋を模して黄色いろうそくが使われることが多い。

祝福をうける

主教や司祭への挨拶。弓拝し(十字はかかない)両手を重ねて(右の掌が上)]差し出す。祝福した主教や司祭の手がその上に載せられるので、その手の甲に接吻する。神様からの祝福があることに感謝する。図eのように、主教や司祭の祝福の指は、イイスス・ハリストスの名(CXC)の形になっている。
胸に手を組む右手を上にして両腕を胸の前でX印に交差させる。天使が羽を畳んだ形を象る

聖職者と修道

正教会の聖職者のことを「神品」と呼びます。神品にはドれ教」「司祭」「輔祭」という三つの役職があります。神品たちは「神品機密」において按手され、神品としての特別な神・聖神の賜物をいただきます。神品は、しかし、人祭司であり教会の頭であるハリストスの代役や代理人ではありません。神品は、ハリストスが今この教会に臨在されていることを証しする役割をもつ人たちです。正教会は神品という階級的な秩序を人切にする一一方、神の民全体が司祭であり前言者であり王であることも基本として忘れていません。聖神の賜物はすべての神の民の上に注がれています。

主教

主教は、修道士もしくは独身者の中から選ばれます。主教には、指導的主教を意味する「大主教」、複数の主教の管轄区をまとめる「府主教」、完全独立の教会を監督する「総主教」というタイトルがあります。

司祭

司祭は、主教の補佐としての役目をもつ人々です。司祭は主教によって各地方の教会に派遣され、その命じられた管轄区内の教会を監督し、教えを伝え、機密を執行します。信徒との交わりが親密であり、信徒は司祭に対して「神父」という尊称を用います。正教会ではカトリックとは違い妻帯者が司祭に叙聖されることがあります。ただし司祭となってからは結婚、離婚、再婚はゆるされません。司祭の中には、修道院の院長を意味する「掌院」または「典院」の他に、「首司祭」「長司祭」「司祭」の区別があります。

輔祭

輔祭は、奉神礼において主教もしくは司祭の補助をする役割をもつ神品です。新約聖書の中では「ディアコノス」と呼ばれ、教会における雑事も奉仕していました。輔祭は、機密の執行は行えず、単に補助するのみです。時代や地域によっては女性の輔祭もいました。輔祭の妻帯の規則も司祭と同じです。

修道士

修道士になる人は特別な祝福を受けますが、神品ではなく基本的には一一信徒にすぎません。修道土たちは、独身をつらぬき、修道の道をもって神に近づく人たちです。修道士たちは普通、修道院で生活します。修道士たちは祈りと労働と斎の毎日を過ごし従順と痛悔と祈祷を身につけていきます。修道士または修道女たちと一般の信徒には、程度の差はありますが、本質的な違いはありません。つまり、すべての信徒も、従順と痛悔と祈祷を身につけて生きることが必要です。

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