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ルーマニアは、機能性高い陶器を美しい遺産として誇っています。ルーマニアの陶器はユニークで多種多様であり、人々の創造性と伝統を表現しています。色は黒いMarginea陶器から、赤いSacelという花瓶に、カラフルなホレズ陶器とCorundプレートといった、形も色も異なった陶器が存在します。ホレズはワラキアから、Corundはトランシルバニアから、Margineaは北部モルドバから、Sacelはマラムレシュからとそれぞれ発祥の地域も異なりそれぞれが特徴的です。陶器の色も自然の色から採られています。例えば、赤は、土壌からとれる豊富な酸化鉄からとれ、ローマの影響を受けています。緑は粘土をすりつぶした残骸を混合した銅線を燃やしてとられ、ルーマニア、ビザンチンの伝統を表しています。
Margineaは、ろくろで粘土の調製および処理をはじめとする伝統的な手段を用い、窯で焼くというプロセスで完成します。300年以上の間手作りで作られてきました。Corundに至っては、将来へこの伝統技術を若者に受け継いでもらうために、専門学校を作ることが検討されています。ホレズ陶器は、すでにユネスコ無形遺産に登録され、生産は、ユネスコでも「伝統あるユニークな仕事」と評されており、男性と女性で工程が分担されています。男性は土台となる粘土の洗浄、骨抜き、混錬、踏みつけ等の型作りを行います。女性は装飾のために伝統的なモチーフを描き、作品の独自性を表現していきます。この骨の折れるプロセスを、一つ一つ巧みにこなす職人技は、昔から変わることなく身内で継承され、ここホレズで陶工は、現在も多くの家庭を支える大切な収入源となっています。このような数多くのルーマニアの陶器は、芸術性に秀でているだけではなく、機能性にも優れ、その製造過程は代々受け継がれている伝統的なものなのです。
ホレズ陶器
ブカレストから西へ180キロ程のところにあるホレズ村。
この村にあるホレズ修道院は、世界遺産に登録されており有名です。
もう一つ、ユネスコ世界の無形文化遺産としても登録されているホレズ陶器もこの村で有名です。
ホレズ陶器は、粘土から土台を作るところまでが男性、装飾は女性と分担して行われており、代々家業として受け継がれてきました。今日でも、職人は数百年前とまったく同じ技術と原材料を使用しています。粘土はホレズ近くのウルメットの丘からのみ何百年もの間抽出されています。ここからの粘土は特別で、独特の性質を持っていると考えられています。装飾に必要な色を準備するために、陶芸家は300キロ離れたハルギタからカオリンを持ってきます。色は主に古いレシピを使用して地元の材料から作られています。
この独特な色使いの釉(うわぐすり)をかけてから垂らした釉をひっかくようにして描かれる模様が特徴です。
例えば、雄鶏や蛇、魚、太陽、命の木などを、赤や緑、青、白などで色鮮やかに描いていきます。
その絵柄は鮮やかで、特徴的な白はホレズ・アイボリーと呼ばれています。
日本では入手が困難なため、世界遺産ホレズ修道院を訪れた際には、是非ホレズ焼きをお土産におすすめします。