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動植物

自然に恵まれた国、ルーマニアにはドナウ・デルタ、国土の1/3を閉めるカルパチア山脈に渡って、風景を彩る特有な動植物が生息します。またドブロジャは、1911種もの植物が生息する、非常に多様性が豊かな地域です。
そんなルーマニア、そして東ヨーロッパに観られる動植物と、旅の途中に一息つける植物園を紹介します。

ドッグ ローズ Rosa canina

通称イヌバラ。一番最初にルーマニアの国花であるこのドッグローズをご紹介します。
名前の通りバラの一種ですが、ルーマニアだけでなく、中国、北アフリカにも生息します。成長も非常に早く、絡みついて伸びるのが特徴です。6月から7月にかけて満開に。
観賞用だけでなく、咲き終わった後の赤い実・ローズヒップは、ビタミンCなどの抗酸化物質が含まれているため、ジャムやハーブティーにも使われます。また、ブルガリアに同じく香料向けドッグローズの栽培が盛んだそうです。

エーデルワイス

キク科ウスユキソウ属。日本でも馴染みのあるエーデルワイスは、高山植物であるため、ルーマニアのカルパチア山脈、ヴランチャ山脈、シナヤのBucegi山、ファガラシュ、マラムレシュなどで見かけることができます。非常に短命で、稀な植物です。
夏に開花するため、7月から9月がシーズンです。
ルーマニアでは、長い間絶滅の危機に直面しているため、1931年に自然記念物に選ばれました。

カルパチアン・ベルフラワー  Carpathian Bellflower

日本では通称ニワギキョウ。キキョウ科に属しています。この花も、標高2500メートルのカルパチア山脈に元々生息する植物の一つです。中央ヨーロッパ原産の多年草で、5月から8月の初夏に開花。通常紫や、青、白色のベル型の花を咲かせます。
幅は、約10cmから30cmほどまで成長し、基本的にメンテナンスがしやすく、家庭でも育てやすい植物です。
1774年には、植物学者のニコラウス・フォン・ジャカンによって、イギリスのキューガーデン(The Royal Botanic Garden at Kew) にも持ち込まれたそうです。

ダイアンサス・カリゾナス Dianthus callizonus

ダイアンサスとは、いわゆる日本語で言う撫子。この花は、数ある撫子の種類の一つということになります。
このダイアンサス・カリゾナスはルーマニアのカルパチア山脈原産で、石灰岩や、山のがれを好んで生息します。
本でも馴染みがあるように、可愛らしい深紅色の花です。

クロークス・バナティクス Crocus Banaticus

アヤメ科。ルーマニアや、バルカン半島、ウクライナに特産。花が散った後に葉が出てくる秋咲きです。花びらは通常紫、または白。春のフグラシ山、カルパチア山脈で観ることができます。
このクロークスは、英国王立園芸協会(The British Royal Horticulutural Society)からAGM (Award of Garden Merit)を受賞しています。

スイレン Yellow Waterlilly / White Waterlilly

ヨーロッパ最大の湿原地であるドナウ・デルタでは、多種に渡る水辺の生命体や、水生植物が観察できます。植物の種類は1,150種にも及び、その一つがこの睡蓮です。睡蓮は、ドナウ・デルタのシンボルの一つとも言えるでしょう。水面に浮く睡蓮は、日の光を直接吸収することを非常に不可欠としていて、そのため岸辺などの影や、他の植物が多く生息するところには育ちません。ドナウ・デルタで6月から9月あたりに育つこの睡蓮は、黄色や白色で、大変良い香りを放ちます。
また、Thermal water lilly と呼ばれる種類の睡蓮は、オラデア地方の暖かい水辺にのみ生息するもので、他の睡蓮と同様に、ルーマニアでは法律によって保護されています。
夜に花を開き、朝の10時あたりに閉じるのが、このThermal water lilly の他の睡蓮と異なる点の一つです。Thermal water lilly は1789年に発見され、1931年には自然記念物に登録されました。

ペリカン

ドナウ・デルタと言えば、このデルタをヨーロッパで唯一群生地・繁殖地としているモモイロペリカンやハイイロペリカンです。
ペリカンは、アフリカからルーマニアへと飛来。ドナウ・デルタでは、5月から8月にロシュ湖などでペリカンの大群をみることができます。
デルタのアシの浮島でペリカンは子育ても。冬になると再びペリカンはアフリカへと戻ります。
ドナウ・デルタには、ペリカンの他に320種類以上の野鳥と、3,400種類の動物が生息しています。

ヨーロッパミンク

世界で絶滅危惧種とされる動物も、ルーマニアの大自然には姿を見せることも。ヨーロッパミンクもそんな生命体の一つです。
ヨーロッパミンクは、イタチ科に分類される動物です。食性は動物食で、魚類、両生類、鳥類、哺乳類、昆虫などを食べます。
以前は、ユーラシア大陸全体に生息するとみられていましたが、現在は絶滅の危機に直面しており東ヨーロッパの大変限られたエリアにしか生存していないとされています。
ルーマニアでは、現在でもドナウ・デルタに生息しています。

オオヤマネコ

約2,800頭のオオヤマネコがカルパチア山脈に生息しており、そのほとんどである2,000頭がルーマニアに隠れていると言われています。
絶滅の恐れは低いと言われていますが、人前に姿を見せることはありません。

シャモア

シャモアはカモシカの一種です。日本では馴染みがあまりありませんが、ルーマニアで観光客が比較的観ることができる野生動物の一つです。
カルパチア山脈に生息するシャモアは、カルパチアン・シャモアと呼ばれています。
ルーマニアでは特に、南部カルパチア山脈のレテザット山や、ピアータの国立公園で見かけることができます。オスと異なり、メスは20頭から30頭の群れで行動することが多いそうです。
絶滅危惧種ではありませんが、紹介したオオヤマネコなどの餌食ともなるため、肉食動物や狩猟による数の減少が心配されています。

ルーマニア植物園の紹介

ブカレスト植物園

ブカレストの街の少し外れに、旅の疲れを癒してくれる植物園があります。
1860年に、ブカレストで初めての植物園として医科薬科大学の隣に設立され、1884年に現在の場所へと移設されました。第一次世界大戦では、ドイツ軍の軍隊により占領、また第二次世界大戦ではアメリカ軍の爆弾で被害を受けました。
この植物園には平方メートルの敷地に、1万種類もの植物が生息。エントランスの近くには、ルーマニアのルネッサンス様式の博物館が設備されており、この博物館内だけでも、5,000種もの植物が展示されており、さらに1,000の外来種が含まれています。
植物園は、装飾用植物、希少植物、地中海植物、イタリア庭園、バラ庭園などのエリアに別れています。

クルージ・ナポカ植物園 (Alexandru Borza Botanical Garden)

ルーマニアで人気の植物園は、ブカレスト植物園だけではありません。クルージ・ナポカの南部には、ブカレストのものとほぼ同じ大きさの植物園が。
1872年に観光地として設立されただけでなく、近隣大学の研究所としても使用されていました。園内には、世界の1万種類もの植物が生息しています。そしてなんと言ってもこのクルージ・ナポカの植物園には、日本庭園とローマの庭が。日本庭園の中に、日本式の家と小川も配置されています。
一方のローマ帝国時代の庭には、ローマ神話で穀物の神とされるケレースの像など、ローマ植民地時代の遺跡が設置されています。

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