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トランシルヴァニア地方の要塞教会

12世紀、トランシルヴァニア地方に「サシ」というドイツ系の人びとが入って来ました。
この結果ドイツの文化がトランシルヴァニアまで伝わり、これらの教会はドイツ系ルーマニア人によって建てられました。
彼らの由来は、ドイツのライン河やモーゼル川の近辺。現在のザクセン地方の人たちです。
遠く離れたトランシルヴァニアまで来たサシ人の目的は、商業を興すこと。
トランシルヴァニアが豊かな国だったので、隣のオーストリア・ハンガリー帝国が、サシ人のトランシルヴァニアへの移住を、積極的に促したのです。

しかし、中世のこの時代は、周辺の遊牧民族たちの攻撃があまりにも多く、激しいため、サシ人が集落の教会の防衛を強化するたびに、どんどん要塞化していく事になったのです。
1394~1690年の3世紀にわたり、トランシルヴァニア地方は、オスマントルコに14回も侵略されました。このため、村民を守れる強固な、城壁の厚い要塞を建てる必要に迫られたのです。
仮に外敵に包囲された場合でも、しばらくは暮らせるように、要塞の中に、水、食糧などの生活物資を備蓄していました。
1600年頃、このような要塞教会は600ヶ所もありましたが、現在ではその半分しか残っていません。

これら要塞教会の建築様式はバロック調ですが、その中は質素です。
現在も、昔と同じように教会の鐘が鳴り、村の人々はその教会に集います。
中世の過酷な時代と直面したのが、現在まで残っているトランシヴァニアの要塞教会なのです。
これらを代表するビエルタンを始め、1993年、ユネスコは、トランシルヴァニアの要塞教会の7ヶ所を登録しました。

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